2019年5月9日木曜日

ナターシャの秘密





雲の
白くたなびく空

見上げて

そっと
息をつく...

ナターシャは

母親が言っていた言葉

思い出し

曇り空

見上げていた...

時は
さかのぼること○十年

ナターシャは
朝を待てずに
布団から飛び出した

その日は
ナターシャにとって
いつもとは違う
特別なひ

一週間も前から
てるてる坊主を飾り
この日を待ちわびた

どうしても
青空であってほしかった

階下へ
バタバタと下り立ち

待ちきれぬ素ぶりで
玄関を開ける

そして

ナターシャの
目に飛び込んだのは

青空

ではなく
どんより
雲のかかる曇り空...

ナターシャは
忽ち
笑みを失った...

あんなに
お願いしてたのに

あんなに
あんなに...

そういって
嘆くナターシャに
母親は言った

ナターシャ

曇り空の秘密
知ってる?

あの雲の上にはね
小さな世界があるの

そして
精霊たちが暮らしてる

ナターシャ

想像してみて

雲の上の世界を...

雲の上から
エール
送っているのよ

青空
願っていた
ナターシャの口元から
笑みがこぼれた...

さてさて

この日が
ナターシャにとって
大事なひだったことは
確かなこと

でも
なんの日だったのか



秘密の話...

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